このように、宿泊体験や修学旅行などの泊りの行事の時、先生って何してるのだろうとふと疑問に思ったことのある人はいませんか?
私は教員時代に、何度か泊りの行事の引率をしたことがあるのですが、教員の仕事の中でもとりわけ大変だったな~という思い出があります。
というわけで、この記事では、宿泊学習の時の教員の仕事について詳しく解説したいと思います!
・宿泊体験学習のときの先生の仕事の裏側が知りたい人
・教員の仕事に興味があり、宿泊学習中の仕事内容を詳しく知りたい人
宿泊学習の引率で大変なことって何?
宿泊学習の引率は、教員の仕事の中でも大きな仕事で、かつとても大変です。
一言で言うと、宿泊学習関連の仕事は体力勝負です。
具体的に大変なのは
- 事前の準備
- 当日のスケジュール
この2つでした。以下、詳しく説明していきますね。
大変なこと① たくさんある事前の準備
宿泊学習は、事前の準備が一番大変でした。
とにかく、やるべきことがたくさんあるのです。
事前の準備は、校務分掌で宿泊学習の係にあたった学年の教員2名ほどを中心に、学年の教員全体で行います。
だいたい、宿泊学習の実施日の3か月前くらいから準備に取りかかります。
準備が進められるのはだいたい子どもたちを下校させてからなので、(中学校教員の場合には部活が終わった19時ころから)夜遅くまで準備をしていました。
- しおりづくり(生徒用と教員用)
- 旅行会社や宿泊施設とのやりとり
- 各クラスでのグループ決め
- 引率教員全員で、生徒情報の交換
大変だった事前準備① 生徒用と教員用のしおりづくり
宿泊学習には必ずあるしおり。
これをつくるのがなかなか大変なのです。
みなさまも自分の宿泊学習の時のしおりを思いだしてみてください。
グループのメンバー、係の仕事内容、旅の日程、注意事項など、事細かに載っていませんでしたか?
それは全て、教員が作っていたのです。
- 各クラスで決めたグループ分けや、係分担を打ち込み、データ化する
- 旅行会社や宿泊施設と日程や活動内容を相談する
- しおりの紙やファイルを発注する
- 人数分印刷する
前年度の宿泊学習のデータを参考にすることもできるのですが、やはり担当する学年ごとに内容が変わってきてしまうので、まるまる使うことはできません。
担当する学年の状況に合わせながら、しおりに必要な内容を盛り込むのがとても大変な作業でした。
また、教員の行動について書かれた教員用のしおりも同時につくります。
教員の配置や係分担などを細かく書いたものなのですが、生徒用のしおりと同時進行で作るので、いくら時間があっても足りないくらいの作業量でしたね。
大変だった事前準備② 旅行会社や宿泊施設とのやりとり
当日の日程や活動内容を、事前に旅行会社や宿泊施設とやりとりします。
この時に大切なのは、当日の行動をどれくらいイメージできるかということです。
イメージをしながら、何度も直して最適なプランを立てていきます。
また、晴天時と雨天時の2パターンの日程や活動内容も同時に考えます。
雨天時の時の活動の場合には、活動内容が簡単だったり、子どもたちが飽きてしまったりしないように、考えを出すことが大変でしたね。
大変だった事前準備③ 各クラスでのグループ決め
みなさまも経験があるかと思いますが、宿泊学習のグループ決めを行ったら、必ず一回は女子がもめます(笑)
クラスのみんながグループをきちんと組んで、係分担をするためには、担任の配慮が必要です。
グループをくじ引きにしたり、制約を設けてグループをつくったりして、うまくグループを組む方法もありますが、私がやった場合には子どもたちからの不満が続出して失敗しました(笑)
結果、「じゃあみんなの思うように組んでみて!」と言った方がすんなり組めたというパターンもあります。(笑)
グループ決めは子どもたちも重要視しているので、慎重に行うために神経を使いましたね。
大変だった事前準備④ 引率者全員での生徒の意見交換
宿泊学習が近づいてきたら、引率の教員、旅行会社、宿泊施設職員でミーティングをして意見交換を行います。
意見交換する内容は主に、子どもの健康面やアレルギー等で配慮するべきことが中心です。
やはり、保護者から数日子どもを預かる立場にあるので、健康面での配慮事項は全員が周知徹底することが必要になってきます。
宿泊学習は、事前の準備がたくさんある。当日までに、普段の業務に加えて宿泊学習の準備をする。
大変なこと② 宿泊学習当日の過密スケジュール
いよいよ宿泊学習当日なのですが、ここからは本格的に体力勝負になってきます。
宿泊学習中は、自然と触れ合ったり、運動したり、歩いたりと、一日中活動をします。
育ち盛りの子どもたちはそれでもいいのですが、大人は一日中動き回ったら疲れてしまいます。(笑)
しかも、宿泊学習中に教員はほとんど寝ることができません。
日中の疲れをとることができないまま次の日を迎えるので、エナジードリンクは必須アイテムでした。
ここからは実際に私の経験した2泊3日のスケジュールを紹介したいと思います。
私が体験した宿泊学習のスケジュール
1日目
時間 | 活動内容 |
5:30 | 学校に着いて準備 |
6:30 | 子どもたちが登校 |
7:00 | バス出発 |
9:30 | 現地到着 |
10:00~ 12:00 | 山登り |
12:00 | 山登りの途中でお弁当を食べる。 |
13:00~ 16:00 | 山登り |
16:30 | 子どもたちが部屋に入って荷物をまとめるので、教員は荷物のチェックや健康状態のチェックをする。 |
17:30 | 夕食 |
19:00~ 20:00 | 広場で合唱練習(合唱コンクールが近かったので、子どもたちは合唱の練習をします。教員は近くで見ていてアドバイスをします。) |
20:30~ 21:30 | お風呂(子どもたちはお風呂に入ります。教員はお風呂場の使い方等をチェックします。) |
22:00 | 子どもたちは就寝(教員はここからが大変です。見回りをして、寝ていなかったり騒いでいたりする子どもがいたら注意します。30分から1時間くらいは見回りしていましたね。) |
23:00~ 0:30 | 教員打ち合わせ(一日の子どもたちの様子や連絡事項をここで全体へと伝達します。この打ち合わせがまた長い…!) |
1:00 | 部屋に戻ってお風呂の準備。ここではじめて自分の泊まる部屋に戻ってきます。部屋は2人部屋や4人部屋など、複数人で泊まることが多かったです。私は先輩の女性教員と相部屋になることが多く(しかも年が15歳くらい離れている)、部屋に戻っても気を遣うことが多かったです(笑) |
2:30 | お風呂と次の日の準備を済ませ、就寝。(翌日は、生徒が6時に起床だったので、5時15分には起きます。) |
2日目
時間 | 活動内容 |
5:15 | 起床。3時間弱しか寝ていません(涙)最速で身だしなみを整えます。 |
6:00 | 子どもたちを起こしに行きます。 |
7:00~ 8:00 | 朝食 |
8:00~ 9:00 | 次の活動まで少し空き時間。子どもたちの泊まるフロアの廊下で見回りをします。 |
9:00~ 11:30 | カヌーで川下り。子どもたちと一緒に行います。 |
12:00~ 13:00 | 昼食 |
13:00~ 16:00 | マウンテンバイクで街めぐり。子どもたちと一緒に行います。 |
16:00~ 17:00 | 子どもたちは部屋で待機。教員は見回りをします。 |
17:00~ 18:00 | 夕食 |
19:00~ 20:30 | キャンプファイヤー |
20:30~ 21:30 | お風呂(前日と同様に、子どもたちがお風呂に入る間は、お風呂場で用具の使い方等をチェックします。) |
22:00~ 23:00 | 子どもたちは就寝。(前日と同様に、就寝していない生徒がいないか見回りを行います。) |
23:00~ 24:30 | 教員打ち合わせ(前日と同様に、一日の反省や連絡事項の伝達をします。) |
1:00 | 部屋に戻ってお風呂の準備 |
2:30 | お風呂と次の日の準備を済ませて就寝 |
3日目
時間 | 活動内容 |
5:15 | 起床。身だしなみを整えます。起きるのはもう気合いでしたね(笑) |
6:00 | 子どもたちを起こしに行きます。 |
7:00~ 8:00 | 朝食 |
8:00~ 9:00 | 子どもたちは部屋で荷物をまとめます。教員は部屋が来た時のようにきれいになっているか最終チェックをします。 |
9:00~ 12:00 | 野外炊飯。子どもたちと一緒にカレーをつくります。 |
12:00~ 13:00 | 昼食 |
14:00 | 宿泊施設を出る |
16:00 | 学校に着く |
18:00 | 子どもたちを全員帰し終わる |
18:00~ 19:00 | 持って行った物品の片付け |
19:30~ | 打ち上げ(打ち上げをするかは、上司が打ち上げをしたいタイプか否かや、職場の雰囲気にもよると思います。私は、宿泊学習が終わった後に打ち上げに行くパターンも行かないパターンも両方経験しました。打ち上げをした場合、家に着いたのは夜中の1時や2時頃が多かったです。) |
このように、宿泊学習の間は、ずっと子どもたちに意識を向けていなければなりません。
とにかく、引率中はひと時も休むことができないのです。
宿泊学習関係の仕事を乗りきるために気をつけていたこと
宿泊学習の引率の仕事は、教員の仕事の中でも確かに大変です。
しかし、事前に予定を確認し、やるべきことを明確にしておけば万全の状態で臨むことができます。
ちなみに、私は新任教員のとき、はじめてのことで段取りが分からないことや体力面に不安があったので、以下のことを事前に気をつけて生活していました。
- 仕事は優先順位をつけて行い、教材研究は休日にまとめて行う。(放課後は全て宿泊学習の事前準備に使うため)
- 当日の日程は、しおりを見なくてもいいくらいすべて頭に入れる。(自分の担当する役割や生徒の動きなど)
- 宿泊学習の事前準備は、学年の教員全員で行う意識をもち、チームで準備する。
- 宿泊学習当日は、生徒の様子をいつも以上によく観察する。(環境の違いから、友人同士のトラブルや体調不良が増えるから)
- 宿泊学習1週間前くらいからは特に体調管理に注意し、早く寝る。
まとめ
この記事では、宿泊学習の時に教員がしていることの裏側を詳しく解説しました。
宿泊学習の引率は、事前の準備と当日のスケジュールがハード!
最初にも書きましたが、宿泊学習の引率は本当に体力勝負でした!
本当に大変でしたが、終わった後のやりがいや達成感は格別なものでしたよ!
ぜひ、この記事が教員の仕事に興味がある方の参考になればうれしいです。